一般向け 説明 | 長門市俵山温泉の薬師堂の本尊である。金銅製で、像高は43.1cmある。頭、体の主幹部を両腕足をふくめて銅の一鋳から鋳成し、目鼻立ちなどをタガネで整形する。両手とも手首から先は別鋳である。納衣は左右の肩をおおう。右手はひじをまげ、斜に上にあげ手の平を前にして五指をのばす。左手は体にそってたらし、ひじをわずかまげて前に出し、手の平を上にして薬壷をとる。もとは鍍金がなされていたと思われるが、現在はほとんど見えない。背面に刻銘があり、延慶4年(1311)に阿武郡紫福村の寺の仏像として造立されたことがわかる。現在俵山薬師堂の本尊であるが、幕末俵山の大火災の後にもたらされたものと伝え、それまでは長門市極楽寺にあったことが古記録に見える。県下で中世の銘文のある金銅仏は他に無く、この像は県下における彫刻史金工史の資料として価値が高い。 |