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文化財要録コンテンツ

名称関連文化財名称綾羅木郷台地遺跡出土の人面土製品
要録名称綾羅木郷台地遺跡出土の人面土製品
指定関連指定区分・種類有形文化財(考古資料)
指定年月日平成3年4月5日
所在地関連所在地

山口市春日町3番22号

山口県埋蔵文化財センター

所有者関連所有者

国(文化庁)

(保管者 山口県)




文化財詳細
制作等の年代又は時代
弥生時代前期

由来及び沿革

 本資料は、下関市大字綾羅木字明神に所在する綾羅木郷台地遺跡(明神地区)の第20号貯蔵用竪穴(SK-20)から出土した。SK-20は、上面径219cm、底面径232cm、深さ129cmで、断面が台形(袋状)の竪穴。人面土製品は、第22層の炭及び焼土を含む砂質層の上面から、顔を下にして伏せた状態で発見された。人面土製品のそばには綾羅木Ⅲ式壺形時の比較的大きい破片があり、これをブッロク状の第23層砂質層が覆っていた。SK-20はその土層の堆積状況から、人為的に埋められた可能性が高いが、第22層は比較的固く締まっており、埋積途中の整地層の可能性が高い。なお、人面土製品自体には火を受けた痕跡が見られない。

 なお、本竪穴からは綾羅木Ⅲ式土器や磨製石鏃など多量の遺物が出土している。なかでも第22層より上位の層から性的シンボルである男根状石製品(男茎形石根)が発見されており、同じく女陰刻石(性穴)と見られる石製品も採集されている。本資料の用途は不明であるが、これらの祭祀用具は用途を考えるうえで興味深い。



品質及び形状

(品質・形状)

 丁重にヘラ磨きされた棒状の本体の上部に人頭及び人面を表現しており、下部は剥落している。現存長8.7cm(顔の高さ4.5cm)直径4.1cmで、重量は273.1g。表面には丹あるいは化粧土を塗ったとみられ、にぶい黄褐色の色調の中に部分的に赤褐色の色調が残る。胎土は比較的精良で焼成も良好。

 頭部には頭髪の表現は無い。顔部は粘土を貼り付けているため、周縁に段を有しており、面の装着を思わせるように全体が浮き上がっている。顔は、眉の表現は無いが、目と口を凹ませ、鼻と耳は立体的に作る。鼻は先端が欠失するが大きく高く表現し、一部欠失する両耳には2孔を穿ったとみられる切り込みが残る。また、頬には入れ墨を表現したとみられる左右対象の同心円文(貝殻施文)を施す。顔全体の印象は、細工が極めて具象的であり、頬と鼻が高く顎が突出しているのが特徴である。



参考情報関連
参考情報

○ 弥生人が自らの顔を表現した遺物には、土器に人面を表現したもの(人面を貼り付けたものと線刻したものがある)、金属器や石などに人面を表現したもの、土偶・木偶・岩偶など人面を立体的に表現したもの、分銅形土製品などがある。しかし、多くの土偶を生み出した縄文時代や人物埴輪を作った古墳時代にくらべると、その数は極めて少ない。

○ これらの遺物はすべて弥生時代中期以降の所産であり、本資料は、弥生人を表現した絵画・彫刻資料としては、わが国最古のものと言うことができる。

○ 鼻と頬が高く顎が突出し、頬に入れ墨を表現するなど、本資料は極めて写実的であり、弥生人の形質や習俗を考える上で、重要な資料である。




地図



画像
<綾羅木郷台地遺跡出土の人面土製品>関連画像001(オリジナル画像表示リンク)<綾羅木郷台地遺跡出土の人面土製品>関連画像002(オリジナル画像表示リンク)<綾羅木郷台地遺跡出土の人面土製品>関連画像003(オリジナル画像表示リンク)<綾羅木郷台地遺跡出土の人面土製品>関連画像004(オリジナル画像表示リンク)

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