名称関連 | 文化財名称 | 紙本墨画白衣観音図 |
要録名称 | 紙本墨画白衣観音図 怡雲寂誾の賛がある | |
指定関連 | 指定区分・種類 | 有形文化財(絵画) |
指定年月日 | 平成5年5月14日 | |
所在地関連 | 所在地 | 下関市豊浦町大字川棚5000番地 |
所有者関連 | 所有者 | 宗教法人 三恵寺 |
【寸法】
本紙の縦85.0cm、横33.3cm、紙継ぎなし
【品質、形状】
紙本墨画、掛幅装
懸崖にとび出した岩塊の上に、向かって左向きに端座する白衣観音を画面中央に画く。頭上に樹木を描きが蔓が垂れ下がる。
観音は、頭髪を除き穏やかな肥痩のある速筆の墨線のみで描かれ、肉身や衣の質感への配慮はない。
懸崖・岩塊は、没骨描により表わし、岩肌は焦墨で表現する。ところどころに点苔を落とす。懸崖からのびる樹木の幹枝は濃墨、葉は淡墨でそれぞれ描き、これにまとわりつく蔓は速筆で一気に表現する。
画面左上部に下記のような賛文が左から右へ4行にわたって墨書されるほか、①関防印(印文不明・白文長方印)、賛文末に②印「寂誾」(白文方印)、③印「怡雲」(朱文方印)の2顆が捺される。
「 (印②)(印③)
巌上 丁酉春季 飛来怡雲社多焚盥拜題
我今心念目想家々穐月光明山中處々春風白華
一慈心下合一切生同一悲仰鼓虚空舌難盡贊揚是故
稽首八萬□□之相示現三十二身之像与一切佛同
(印①) 」
◎白衣観音
白衣をつけた胎蔵界観音院の一尊。三十三身に変化して衆生の種々の苦悩を解消するものとして、清浄な白衣をまとい、俗塵を離れて山中に瞑想する姿は、禅僧の隠遁思想を体現した仏として尊重され、14世紀頃の初期水墨画においてよく制作された。
◎怡雲寂誾
14世紀半ば過ぎ、周防の武家伊藤氏から京都の臨済宗東福寺(1235年の創建、京都五山に列す)に入って書記を勤めた禅僧で、中国にも留学を果たし、後年帰郷。応永21年(1414)の年紀をもつ京都・神護寺蔵の4代将軍足利義持像(重要文化財、絹本着色、掛幅装、縦116.8cm、横59cm)の賛者でもある。なお、寺伝では、出身を長門内日(現下関市)とし、三恵寺を中興したとする。
納箱の墨書 ○蓋表「中興怡雲和尚自繪自讃観世音」
○蓋裏(後筆)「川棚温泉開基真言宗三恵寺 中興怡雲和尚自繪自讃観世音像壱幅入之箱」
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