名称関連 | 文化財名称 | 分銅形土製品 |
要録名称 | 分銅形土製品 (明地遺跡出土の分銅形土製品) | |
指定関連 | 指定区分・種類 | 有形文化財(考古資料) |
指定年月日 | 平成9年12月12日 | |
所在地関連 | 所在地 | 山口市春日町3番22号 (山口県埋蔵文化財センター) |
所有者関連 | 所有者 | 山口県 |
(品質、形状)
天秤の錘(分銅)状の平面形をもつ板状の土製品であり、片面の上半部には顔面表現がある。上半部下端には左右対称な位置に、おのおの2孔が貫通する。上半部と下半部の間のくびれた部分が最も厚く、この部分で2つに折れている。弥生土器と同様の胎土・焼成であり、灰橙色を呈する。最大長21.8cm、最大幅16.4cm、最大厚3.1cm、重量870gである。
顔面表現は、細い粘土紐を貼りつけて表現した眉および鼻と、弧状の断面をもつ工具の刺突によって表現された目および口から成る。眉の端部は側面におよび、鼻孔は刺突によって表現する。額部分には丁寧なナデがみられるが、頭髪等の表現はない。裏面には全体に粗いナデがみられる。
○分銅形土製品について
(1)分銅形土製品は弥生時代中期から後期にかけて盛行する遺物であり、近畿から北部九州にかけての瀬戸内海沿岸部を中心として分布する。現在までに約300個が発見されているが、その7割以上は吉備地域に集中している。分銅形土製品は各戸または数戸単位の祭祀具と考えられており、護符あるいは仮面としての使用が推定されている。
(2)山口県に分布する分銅形土製品は角ばった状態であり、外形が円形に近い吉備のタイプとは明瞭に区別できる。分銅形土製品には顔面表現のみられるものが比較的多いが、粘土紐を貼り付けて眉と鼻を立体的に表現するものは周防・伊予に集中して分布する。
(3)分銅形土製品は小破片となって集落遺跡から出土するのが通例である。その際、破片が接合(割れ口が一致)する例や、破片となった分銅形土製品が特別に扱われた例はみられない。
(4)明地遺跡の分銅形土製品の出土状況は、破壊されていること、顔を伏せて埋納されていることなど、『綾羅木郷台地遺跡出土の人面土製品(平成3年県指定)』との共通性がみられる。
(5)人面表現のみられる弥生時代遺物は例が少ないうえに、出土した遺構が明確で、原形を保つ遺物は希少である。
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