名称関連 | 文化財名称 | 大内版法華経板木 |
要録名称 | 大内版法華経板木 | |
指定関連 | 指定区分・種類 | 有形文化財(歴史資料) |
指定年月日 | 平成10年6月30日 | |
所在地関連 | 所在地 | 山口県文書館 山口市後河原150番地の1 |
所有者関連 | 所有者 | 山口県 |
妙法蓮華経板木目録(山口県文書館所蔵)
(単位:㎜)
刻銘/経題及び品題/縦/横/厚/箱番/備考
1/(表左)一之一/(表)妙法蓮華経序品第一/254/940/19/1/
/(裏右)裔薫僧/
2/(表左)一之二/ /253/936/18/1/
/(裏右)裔薫僧/
3/(表左)一之三/ /254/936/18/1/下端一部欠損、反りあり
/(裏右)裔薫僧/
4/(表左)一之四/(表)妙法蓮華経方便品第二/251/939/18/1/上端一部欠損、反りあり
/(裏右)裔薫
5/(表左)一之五/ /247/938/18/1/
/(裏右)裔薫/
6/(表左)一之六/ /248/940/17/1/
/(裏右)裔薫/
7/(表左)一之七/ /249/944/16/1/
/(表右)山口図書館〔焼印〕/
/(裏左)文明十四壬寅五月日願主宥淳/(裏)妙法蓮華経巻第一/
/(裏右)開板裔薫 山口図書館〔焼印〕/
8/(表左)二之一 文明十二二六月十六日自/(表)妙法蓮華経譬喩品第三 二/252/944/18/2/左把手側面に「二之一」の刻銘、上端右半分に副木あり
/(裏右)裔薫 六月廿九日/
9/(表左)二之二/ /255/942/18/2/反りあり
/(裏右)裔薫/
10/(表左)二之三/ /253/940/18/2/
/(裏右)裔薫/
11/(表左)二之四/ /247/946/17/2/
/(裏右)裔薫/
12/(表左)二之五/ /247/935/15/2/裏面経文一部欠失
/(裏右)裔薫/
13/(表左)クラント/(表)妙法蓮華経信解品第四/240/946/19/2/
/(表右)二之六/
/(裏左)天正六戊ヲ時正月 蔵人/
/(裏右)再興願主法印重映/
刻銘/経題及び品題/縦/横/厚/箱番/備考
14/(表左)二之七/ /250/942/18/2/反りあり
/(裏右)裔薫
15/(表左)二之面八/ /251/939/15/2/下端一部欠損
/(裏右)裔薫/(裏)妙法蓮華経巻第二/
16/(表左)三之面一/(表)妙法蓮華経薬草喩品第五 三/250/945/18/2/裏面経文一部欠失、上端一部割裂
/(裏右)裔薫/
17/(表左)三之面二/(表)妙法蓮華経授記品第六/245/946/16/3/裏面経文一部欠失、右端一部割裂
/(裏右)裔薫/
18/(表左)三之面三/ /247/942/18/3/
/(裏右)裔薫僧乍/
19/(表左)三之面四/(表)妙法蓮華経化城喩品第七/252/942/17/3/上端一部欠失
/(裏右)裔薫/
20/(表左)三之面五/ /248/944/21/3/上端一部割裂
/(裏右)裔薫/
21/(表左)三之面六/ /254/936/20/3/
/(裏右)裔薫/
22/(表左)三之面七/ /251/937/19/3/
/(裏右)裔薫/
23/(表左)三之面八/ /251/944/17/3/裏面経文一部欠失
/(裏右)文明十五年九月廿八日 裔薫/(裏)妙法蓮華経巻第三/
24/(表左)四之一 十月1日/(表)妙法蓮華経五百弟子受記品第八四/250/938/19/3/
/(表右)十月八日/
/(裏右)裔薫 内十五日/
25/(表左)蔵人/ /238/948/17/4/経題下に「氷上山」とあり
/(表右)四之二/
/(裏左)天正五年十一月廿八日始之 クラント/(裏)妙法蓮華経授学無学入記品第九/
/(裏右)再興願主心蓮重映/
26/(表左)四之三 十一月二日ハシマル/ /250/948/11/4
/(表右)十一月九日/
/(裏左)内十日ヒラク/(裏)妙法蓮華経法師品第十/
/(裏右)裔薫 十一月十九日/
刻銘/経題及び品題/縦/横/厚/箱番/備考
27/(表左)四之四 十一月廿二日/ /251/945/18/4/上端二ヵ所欠失
/(表右)十二月三日/
/(裏左)内四日ヒラク/
/(裏右)裔薫 十二日/
28/(表左)四之五 十二月十三日ハシマル/ /254/945/20/4/
/(裏左)文明十六年正月十三日/(裏)妙法蓮華経見宝塔品第十一/
/(裏右)裔薫/
29/(表左)四之六 文明十六年正月廿五日/ /247/938/19/4/
/(裏左)二月五日ハシマル/
/(裏右)裔薫/
30/(表右)四之七 二月十六日初/ /251/938/18/4/
/(裏左)二月廿四日初/(裏)妙法蓮華経巻第四/
/(裏右)文明十六年三月三日 裔薫/
31/(表左)五之一 内三月六日初/(表)妙法蓮華経堤婆達多品第十二/253/948/18/4/上端一部割裂
/(裏左)三月十五日/五
/(裏右)裔薫/
32/(表左)五之二 四月二日初/(表)妙法蓮華経勧持品第十三/251/943/18/4/
33/(表左)五之三/(表)妙法蓮華経安楽行品第十四/258/948/20/4/上端割裂
/(裏右)裔薫僧/
34/(表左)五之四/ /248/940/20/5/
/(裏右)裔薫/
35/(表左)五之五/ /250/945/18/5/上端一部割裂
/(裏右)裔薫/
36/(表左)五之六/(表)妙法蓮華経従地涌出品第十五/251/948/20/5/
/(裏右)裔薫/
37/(表左)五之七/ /220/942/20/5/上下端の副木欠失か?
38/(表左)五之八/(表)妙法蓮華経巻第五/254/945/20/5/裏面経文なし、上端副木あり
/(表右)裔薫/
39/(表左)六ノ一/(表)妙法蓮華経如来寿量品第十六/240/948/20/5/
/(表右)再興願主心蓮房重映 作者末松掃部助種貞/六
40/(表左)元亀三壬申十月吉日願主重映/ /243/947/20/5/経題下に「氷上山」とあり、表裏の天地逆転
/(表右)六之二/(裏)妙法蓮華経分別功徳品第十七/
刻銘/経題及び品題/縦/横/厚/箱番/備考
41/(表左)六之三/ /257/936/18/5/
/(裏右)ゑいくん/
42/(表左)六之四/ /240/939/17/5/両面経文一部欠損、上端一部欠損、反リあり
/(裏右)ゑいくん/(裏)妙法蓮華経随喜功徳品第十八/
43/(表左)六之五/ /248/942/17/6/右端一部裂傷
/(裏右)裔薫/(裏)妙法蓮華経法師功徳品第十九/
44/(表左)六之六/ /250/941/18/6/
/(裏右)裔薫/
45/(表左)六之七/ /254/935/17/6/表面経文一部欠失
/(裏右)エイクン/
46/(表左)六之八/(表)妙法蓮華経巻第六/253/937/18/6/裏面経文なし(刻痕あり)、右端裂傷
/(表右)裔薫/
47/(表左)七ノ一/(表)妙法蓮華経常不軽菩薩品第二十七/251/947/15/6/
/(裏右)エイクンソウ/
48/(表左)七ノ二/(表)妙法蓮華経如来神力品第二十一/252/948/16/6/
/(裏右)エイクンソウ/
49/(表左)七ノ三/(表)妙法蓮華経嘱累品第二十二/248/949/17/6/
/(裏右)エイクン/(裏)妙法蓮華経薬王菩薩本事品第二十三/
50/(表左)七ノ四/ /251/946/18/6/
/(裏右)エイクンソウ/
51/(表左)七ノ五/ /247/943/16/6/
/(裏右)エイクンソウ/
52/(表左)七ノ六/(表)妙法蓮華経妙音菩薩品第二十四/249/947/13/7/
/(裏右)エイクンソウ/
53/(表左)七ノ七/ /246/947/10/7/右端割裂
/(裏右)エイクンソウ 長亨三己酉/(裏)妙法蓮華経巻第七/
54/(表左)八之一 己酉/(表)妙法蓮華経観世音菩薩普門品第二十五 八/246/945/18/7/上端一部欠損
/(裏右)裔薫僧/
55/(表左)八之二/ /246/948/18/7/裏面経文一部欠失、上端一部欠損
/(裏右)裔薫僧/(裏)妙法蓮華経陀羅尼品第二十六
刻銘/経題及び品題/縦/横/厚/箱番/備考
56/(表左)八之三/ /247/943/18/7/
/(裏右)裔薫/ / / / /
57/(表左)八之四/(表)妙法蓮華経妙荘厳王本事品第二十七/247/950/10/7/
/(裏右)裔薫/
58/(表左)八之五/ /248/943/12/7/
/(裏右)裔薫/(裏)妙法蓮華経普賢菩薩勧発品第二十八/
59/(表左)八之六/ /246/950/15/7/
(裏右)延徳二庚戌五月十三日裔薫僧開 水上山/(裏)妙法蓮華経巻第八/
願主 宥淳(興隆寺の塔頭宝浄坊の住職)
刻工 僧裔薫
〔補刻〕
願主 心蓮坊重映(同じく興隆寺の塔頭心蓮坊の住職)
刻工 末松掃部助種貞および蔵人
守護大名大内氏の氏寺である山口の氷上山興隆寺で開板された妙法蓮華経(大乗経典の一つで、二乗作仏ならびに釈尊の久遠成仏を説き、諸大乗経典中、最も高遠な妙法を開示したという経典)全8巻28品が完存する板木である。
刊記により文明14年(1482)から興隆寺の塔頭住職を願主として開板され、後年の元亀3年(1572)と天正5~6年(1577~78)に補刻されたことが判明する。
願主の宝浄坊宥淳は、文明18年2月13日多々良亀童丸(大内義興)上宮参詣記(山口県文書館蔵、興隆寺文章)、または心蓮坊重映は永禄13年(1570)6月23日心蓮坊重映書状(周防国分寺蔵、旧興隆寺文書)などで確認することができる。
「大内版」と称される大内文化の一翼を担った印刷文化の希少な具体例である。『聚分韻略』(岩国微古館蔵、山口県指定有形文化財、指定名称は「大内版三重韻」)など版本で残る例はままみられるものの、板木自体が残る例は他にない。
久しく興隆寺(山口市大内氷上)に伝来していたが、大正4年(1915)度に山口図書館が当時70円で購入し、その後、山口県文書館(昭和34年<1959>設置)に移管された。購入を伝える『山口図書館第拾三年報』(大正5年5月)は、「曽テ本邦文化資料ノ一部トシテ文部省ヨリ日英博覧会ニ出品セラレタルコトアリ」などとも記している。
桜材59枚の両面に妙法蓮華経(序品から普賢菩薩勧発品まで全28品)全文が陽刻される。ただし、第38(五之八)、46番目(六之八)の板木は片面のみ彫刻される。一部経文の欠落するところもある。印行されているため板面黒ずんでいる。また、反りをもつものもある。左右両端に把手があるが、大半が新補材(杉材)である。この行為に鉄釘が使われているため、裂傷等の損壊が見られる。その他、虫損等の損失損傷が見られる。
経文と左右の把手の間に「一之一」から「八之六」までの順列と願主や刻工の名前や製作時期を伝える刊記が陰刻される。これにより59枚中、第13・25・39・40番目の4枚の板木は補刻であることが判明するが、板木そのものはもとより、印字の大きさなどに、特に目立った相違は認められない。第7番目の両面には「山口図書館」の蔵印がある。また、第25番目の「授学無学入記品第九」と第40番目の「分別功徳品第十七」の経題下に「氷上山」と陽刻される。
第7番目の最尾に「妙法蓮華経巻第一」、第59番目の最尾に「妙法蓮華経巻第八」などとあるように、しかも版芯の痕跡が全く窺われないことから、本件は8巻仕立ての巻子本として製作されたことが判明する。
板木一面の経文は35行を原則としており、印字は硬体と呼ばれる楷書体である。界線はない。
各板木の詳細は別紙目録のとおりである。
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