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文化財要録コンテンツ

名称関連文化財名称花笠踊
要録名称花笠踊
指定関連指定区分・種類無形民俗文化財
指定年月日

昭和46年4月21日 (文化庁・芸能第62号) 記録作成等の措置を講ずべき無形文化財として選択

昭和51年3月16日 (山口県教育委員会告示 第3号) 無形民俗文化財

所在地関連所在地周南市
所有者関連所有者

保持者関連
保持者
花笠踊保存顕彰会

文化財詳細
時期及び場所
 7年目ごとの8月26日、二所神社において八朔風鎮祭に踊られる。

由来及び沿革

 花笠踊は別名花踊ともいう。鶴の渡来地熊毛町八代魚切部落に400年以前から踊り伝えられて来たものといい、その由来については文献の徴すべきものは見当たらないが、部落には次の様に語り伝えられている。

 室町時代の末、大内義隆は周防、長門、豊前、筑前、安芸、石見、備後の7州を領し、大内氏の最盛期を形成し、朝鮮、支那と交易、外国文化もとり入れてけんらんたる大内文化の花を開かしめた。天文19年8月末、寵臣陶晴賢謀反し、防府徳地両道から山口に攻め入り、義隆が築山の館で能を興行して居た夜これを急襲してついにその首をあげた。(史実によると天文20年8月27日行動を起した陶軍が28日山口に乱入、義隆は身を以って難を法和泉寺にさけ29日長門に走った。翌9月朔日瀬戸崎(長門市仙崎)から海路九州にのがれんとして果たさず、同日深川大寧寺に入り自害)

 魚切部落の花笠踊は、この末世の道者といわれ文化を愛した武将義隆の悲劇的最後に対し、庶民が捧げた追善供養であると伝えられている(一部に晴賢がこの華やかな踊で義隆を館の奥からさそい出したものであるともいわれている。)

 その後400年間、年季踊と称し、7年目毎に8月朔日に踊り伝え明治以後は、8月26日二所神社八朔風鎮祭に踊る様になったのである。これを伝承するには、踊子は男女とも未婚者に限り、特に調司及び調庄は未婚の長男でなければならないという工夫がしてあり、7年に1回であるから一生涯に一度しか踊子となる機会がなく、里人の青春の感銘深い思い出草となっている。



内容
 踊は日没前、魚切部落の中心山の神に勢揃いして、道行は、先導の道わけにつづいて大花灯籠をおし立て、大締太鼓、はやし方、音頭とりのあとに踊子がつづき、薄明の中を里人の提灯に守られて二所神社に参拝する。道分けは太鼓、笹、鉦に合せ6尺棒を振って群衆の中に分け入り、踊の場を作り、みだれと称する勇壮な棒踊りを演ずる。これが終ると調司・調庄に導かれた踊子が入場・男踊子が内輪、娘踊子は外輪と二重の輪をつくり、大締太鼓の音を合図に、一ツ目花の踊から踊り始める。踊は九章からなり、花の踊、六調子踊、四季の踊、宿所踊、巡礼踊、五色踊、姉御踊、牛若踊、千松踊の順で踊られ、その歌詞は組歌形式以前のいわゆる譚歌(物語り歌)で全国でも珍しい古風なものといわれている。

構成
(1)道分け 8名 (2)調子調庄 各々2名 (3) 男踊子 12名 (4)娘踊子 12名 (5)その他音頭とり 若干名 (6)大花灯籠 1名 (7)高張提灯 若干名

設備・衣装・用具

(1)道分け

 白地浴衣・白鉢巻・紅だすき・6尺棒

(2)調子調庄

 陣笠・陣羽織・帯刀・手甲・脚袢・草鞋・天文19年と記した旗差物を負う。

(3)男踊子

 花笠・白地浴衣・黒紋付羽織・帯刀・手甲

(4)娘踊子

 花笠・白地浴衣・紅腰巻・手甲・脚袢

(5)音頭とり

 太鼓・笛・鉦



歌詞

「一ツ目 花の踊」

まず大簇は梅の花

※花に鳥がつくげな 鳴子かけて花の鳥を追うよ

 花が散るよな

きさらぎは桃の花

※同じく繰返し

弥生にはさくら花

※同じく繰返し

卯月には卯の花よ

※同じく繰返し

さつきにはつつじの花

※同じく繰返し

 花の踊はこれまでよ

 お庭ついでにもひと庭

「二ツ目 六調子踊」

 六調子踊をいざおどろ

上は松山下は茂りの閑古寺

忍びかけたるこの稚児よ

そさま思いに身が細る

二重たすきに三重まわる

かけて廻すにまわらいで

締めて廻せば四重廻る

山をへだてて妻もてば

七里夜で来て夜でもどる

そさまくるめきわれにこそ

わくのおよたでくるばかり

八つの谷から湧く清水

清水湧かいで泉わく

黄金わげおくわげびしゃく

泉汲み取るあら芽出度

さそまおもえばわれはこそ

 六調子踊はこれまでよ 

 お庭ついでにもひと庭

「三ツ目 四季の踊」

 四季の踊をいざ踊ろ

東の亭を眺むれば

春の景色とうち見える

梅の小枝に鶯が住む

南の亭を眺むれば

夏の景色とうち見える

池に浮草鯉のしらいお

西の亭を眺むれば

秋の景色とうち見える

紅葉に鹿が恋の音を出す

北の亭を眺むれば

冬の景色とうち見える

雪に兔が恋の夜歩き

 四季の踊はこれまでよ

 お庭ついでにもひと庭

「四ツ目 宿所踊」

 宿所踊をいざ踊ろ

われが殿御は宿所一番鳥差しよ

鳥は差さいで姫を差す

姫が小鳥や面白や

姫が小鳥でなけれども

関の泊りは茶屋がかり

茶屋のかかりを見てやれば

さても見事な茶屋じゃもの

さても見事なこの茶屋は

心留まるはこの茶屋よ

茶屋に茶たてるひめ見れば

さても見事なひめじゃもの

瑠璃を塗りたる如くなり

笹に塗る言葉をかくす

茶屋場のかかりを見てやれば

盆は白銀茶碗は黄金

まして茶柄が がね

こがね杓ならば見とござる

これが茶屋での宝物

ひめが土産はなになによ

綾と錦と玉すだれ

今度下りによろずもの

お庭はついでにもひと庭

「五ツ目 五色踊」

 五色踊をいざおどろ

黒きもの くろめ くろづち くろしやぐま

春焼山に猪が住む 猪が住む

青きもの 青め 青づち 青しゃぐま

谷の青萱 丘の姫松 丘の姫松

赤きもの 赤め 赤ずち 赤しゃぐま

朱の盆に海老の盛り物 海老の盛り物

白きもの 白め 白ずち 白しゃぐま

しらげの米に富士の白雪 富士の白雪

黄なるもの 黄わだくちなし うこん染め

きがねしようとく山吹の花 山吹の花

 五色踊はこれまでよ

 お庭ついでにもひと庭

「六ツ目 巡礼踊」

 巡礼踊をいざおどろ

巡礼しようと思いもせねど

村の若衆にさそわれて

あら美しや巡礼笠よ

うるしが良いか塗手が良いか

巡礼笠の匂をとめて

関所で花をやりまいしょう やりまいしょう

堺の町を通り見れば

あら美しやはぐうめの小袖

あれを買うて若衆の土産にしよう

若い衆の方から文が来た

開けて見たれば面白や

歌に連歌を書き混ぜて

恋し昔が思われる

もう一度情をかけましょう かけましょう

「七ツ目 姉御踊」

 姉御踊をいざおどろ

よもぎがもとに宿とりて

畳は短かし夜は長し

あかとき起きて西見れば

笛や太鼓の音がする

聞けば殿御の声もする

見たや逢いたや参りたや

姉御がもとに帷子借りに笠借りに

帷子無いよともどされた

笠もないよともどされた

さても姉御は情無いと

明年の春が来たなれば

麻種たんと朝蒔いて

二つ葉三つ葉になるなれば

みへぎするへぎしてなりと

うんで紡いでかせにかけ

七よみ八よみ誰もする

十九九よみの布織りて

晒布は何よとほめられた

ゆうではなとはあだなれど

芥子の花よとさらしたり

紺屋紺屋は多けれど

筑紫の巡礼とおるならは

丹波の紺屋にことずけて

散らし好みはないかよと

散らし好みはちとござる

形は何よと好まれた

肩にはかんこの唐松よ

背には何よとこのまれた

背には近江の湖よ

前には何よと好まれた

前には殿御を抱きしまよ

腕には何よと好まれた

腕には桝屋の桝形よ

裾には何よと好まれた

裾にはすそやのすそたけよ

 姉御踊はこれまでよ

 踊りついでにもひと庭

「八つ目 牛若踊」

 牛若踊をいざおどろ

牛若殿は何処育ち

鞍馬の奥の稚児育ち

鞍馬育ちの事なれば

つく手にさす手に落す手に

鞍馬の山から月が出た

月かと思うて出て見れば

牛若殿のりうの駒

この駒何よとほめられた

連銭月毛にとら葦毛

轡は何よとほめられた

妙珍轡をかまされて

手綱は何よとほめられた

錦手綱をよりかけて

鞍をば何よとほめられた

金覆輪の鞍置いて

あやゝのはらかけあら美事

かすみのぶちでひとつ打ち

この駒千里も飛ぶ駒よ

この国千里に足らぬ国

そも天竺におめしあげ

そも天竺ののりよをば

かんぬきおどしのみまはたし

この駒何よとつながれた

かんぬき落しのしばつなぎ

 牛若踊はこれまでよ

 お庭ついでにもひと庭

「九ツ目 千松踊」

 千松踊をいざおどろ

ゆんやござった花嫁御

けさは納戸につけこんで

六枚屏風をひき立てて

金襴緞子を縫はせれば

ほろりほろりとお泣きゃるが

何が悲しうてお泣きゃるか

何も悲しうはござらぬが

わしが弟の千松は

まだ七つにもならねども

長者になるとの夢を見た

まこと長者になるならば

お馬の上からとび下りて

扇のかなめを口にして

石山崩して堂をたて

堂のまわりに池掘って

池のまわりに松を植え

松の緑で水を取り

柳の緑で田を作る

その田作った稲見れば

丈が六尺穂が二尺

一鎌刈りては二千石

二鎌刈りては四千石

三鎌と刈ればつもりない

飯に炊いては富士の山

酒につくりていずみ酒

いずみの酒の底見れば

白酒三本通り抜け

東に向いては父恋し

西に向いては母恋し

北に向いては姉恋し

恋し恋しと三声さえずる さえずる

千松踊はこれまでよ (おわり)

 

 

 




画像
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