名称関連 | 文化財名称 | 四天王図鎗金扉 |
要録名称 | 四天王図鎗金扉 平江管勝造の黒漆印銘がある | |
指定関連 | 指定区分・種類 | 工芸品 |
指定年月日 | 平成2年6月29日 (県指定) 昭和58年9月27日(山口県教育委員会告示 第4号) | |
所在地関連 | 所在地 | 山口市吉敷1750番地 |
所有者関連 | 所有者 | 宗教法人 龍蔵寺 |
【制作年代・製作者特色】
この作品は、14世紀(元時代)に平江(現蘇州)の地で漆工管勝によって製作され、中国の伝統的な図像を基本にして、ラマ教の要素を包摂しながら成立したラマ教関係の四天王図像の一例である。さらに、鎗金技法が経箱のような小画面に絵画性の強い図容を表現していて、美術史上、文化史上の意義が大きい。
扉は桟唐戸、上図の如く框の過半が欠損しているし、C区を除き戸板と框及び桟の嵌め込みがほとんど緩んでいる。
戸板は厚さ8~9㎜の木の板に表裏とも1.5~2.2㎜の下地漆を施した上に、表を黒漆、裏を朱漆で仕上げている。
下地漆には、粗い布を板の周囲に対してバイヤスに貼りつけ、白灰色のかなり粗い粒子を混ぜ、さらに植物繊維のすさをまきつけている。
この戸板に、鎗金技法によって表は天部形立像、裏は蓮華、花瓶、花台が描かれている。
鎗金
漆仕上げした表面に図様を浅く線刻し、このくぼみに新たに漆を摺りこみ、刻線上に綿で金箔を押しこむ技法をいい、金や創金とも書かれ、わが国においては沈金と称されている。
(1)A区
表…左脚を少し前に出して軽く脚を開き、右に腰をひねって、真正面を向く天部形立像(持国天像)が描かれる。胸前に四弦の琵琶を両手で抱える。
左から三分の一の所で縦に二つに割れ、面の周囲に沿って下地漆の剥落がみられ、変色した箇所も認められる。
裏…無文
面の周囲に下地漆の剥落があり、変色や傷が顕著に認められる。
(2)B区
表…左脚を少し前に出して軽く脚を開き、右に腰をひねって右斜めに顔を向ける天部形立像(増長天像)が描かれる。右手で長剣のつかを握り、左手で長剣の身を胸前に支える。
右から5分の1の所に、長さが半ば以上に達する亀裂が縦に走り、像の足許部分には変色し剥落が見られる。
裏…花瓶1口に生けられた数輪の蓮華が描かれる。花瓶は上から雷文、雲文、雷文、反蓮弁、向鳳凰、仰蓮弁の文様で埋められ、両肩には獅子環が見られる。この花瓶はさらに花台に載る。
表と同じくその内容は鎗金部分はほとんど剥落してしまって、描線が明瞭でない。
下辺中央に「平江管勝造」と印で捺された黒漆銘文が認められるほか、その向って右側には「年/月□」「平江□」の墨書が見られる。所々に変色が認められる。
(3)C区
表…右脚を少し前にして両脚を軽く開き、左に腰をひねって右斜めに顔を向ける天部形立像(広目天像)が描かれる。右手で腕に巻きついた蛇をつかみ、左手を挙げ、拇指と人差指を捻ずる印を結ぶ。
面の周囲を中心に剥落や欠損部分があり、変色箇所もある。
裏…B区同様、蓮華、花瓶、花台が表されるが、花瓶は上から雷文、雲文、反蓮弁、向鳳凰、迎蓮弁の文様で埋められる。
また、鎗金部分が剥落し描線が明瞭でないものはB区と同様である。
下辺中央にはB区と同じ「平江管勝造」の黒漆銘文が認められる。
変色や剥落があるほか、亀裂と著しい。
(4)框及び桟
框及び桟も各区とほぼ同様の漆仕上げが認められるが、剥落、破損部分が多い。
框の縦は縦、框の横及び桟は横の圏線3本(中央は二重圏線)が表にのみ表わされる。
なお、C区表の縦框には、厨子留金の痕跡と思われる穴があって、緑青にさびた銅片が遺る。全般に虫損が目立つ。
(5)D区
框及び桟を一部にのこして戸板は欠失。
(1)寸法
〇絵扉 上段 各竪51㎝ 横40㎝
下段 竪49cm 横40㎝
〇復元扉 竪124㎝ 横98㎝
※その他は図に標示のとおり。
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