名称関連 | 文化財名称 | 絹本着色釈迦十六善神像 |
要録名称 | 絹本着色釈迦十六善神像 付 納箱(正徳元年六月廿一日銘) 六月廿ニ日今田助之進他二名連署寄進状 | |
指定関連 | 指定区分・種類 | 絵画 |
指定年月日 | 昭和60年10月29日(山口県教育委員会告示 第4号) | |
所在地関連 | 所在地 | 県立山口博物館寄託 |
所有者関連 | 所有者 | 宗教法人 極楽寺 |
一幅
付 一合
一通
極楽寺は、今は真言宗御室派に属し、山号を二井寺山と称する古刹で、かつての二井(新)寺(盛時には24坊を従えたという)の大坊極楽寺の後身である。大内氏の滅亡とともに荒廃した二井寺であったが、寛永年間(1624~43)岩国横山村妙福寺の住職宥山が当寺を兼帯して再興がはかられ、元禄8年(1695)極楽寺ほかが再建された。
本図の伝来は、まさにこの再興時に係わるもので、このことは6月22日付け吉川家寄進状によって明瞭である。
【法量・品質・形状】
○縦 83.8㎝(ただし上端部6.5㎝は補絹)
横45.0㎝
○絹本着色 掛幅装
○はなやかな蓮華座の上に頭光身光の二重円光を背にして、結跏趺坐する赤衣の釈迦如来像を中心にして、画幅の下辺に、右手に払子、左手に経巻をもつ玄奘三蔵と、髑髏の瓔珞をつけ左腕に蛇を巻きつけた赤身怒髪の深沙大将とを配し、画面の左右には戟・槍・金剛杵・弓矢・剣・索などの利器をもつ護法神十六尊が侍立する。
画幅は一幅一鋪、一尺六寸幅の画絹を用いたものと思われる。画幅上端は別絹で補う。画面中央部では画絹が損減して肌裏紙が露呈している。
釈迦如来像の肉身部は白肉色で、輪郭を淡墨で下描きし、輪郭に沿って朱暈を施し、朱の鉄線描で肉身線を描き起している。胸部の画絹の損滅した個所で肌裏紙が露呈しているが、そこで裏彩色のあとが、確認できる。朱彩の衲衣の衣褶線は彫塗にし、金泥のくくりを用い、また別に細い金泥線で円文を描いている。衣褶は屈張されていて、宋・元画風の影響が明らかである。蓮華座は朱ノ具の蓮肉に白縁の蓮華を配し、その蓮華には細い朱細で筋描きする。蓮華座をのせる台座は六角、鎌倉時代後期以後の意匠になるものである。
玄奘三蔵と深沙大将の両像の表現技法は、釈迦如来像と同巧のものであるが、描き起しに濃墨の明晰な墨線を用いて印象を明確にしている。十六善神の諸像も、また同巧の技法によっている。
色彩は紺丹緑朱の基本的配色に黄土を加え、裏彩色を活かして設色を軽くし、明快軽爽な色彩構成を主体とするが、釈迦如来像の赤衣や蓮華座の白緑の蓮華に見るように華麗濃厚な色彩構成になるところもある。描線は、明快な色彩構成になるところもある。描線は、明快な色彩構成に対応する筆意の鋭い肥痩線を中心にし、精確な形態感をつくり、その限りでは一種の描線主義の印象を与える。彫塗を多用し、衣褶の屈曲を強調し、くくりつけ、肥痩線を愛用することなどに、宋・元画風の影響を受けた鎌倉時代後期のわが国仏画の技法的特徴がよくあらわれている。
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