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2019/10/28 【季節の話題】ツルを迎える準備

 朝夕は、肌寒さを覚える季節になってきました。あちらこちらの田んぼでは稲刈りも終わり、すっかり秋の景色です。周南市八代盆地には、そろそろ、遠くシベリアからある生き物がやってきます。そう、ナベヅルです。

 毎年10月のはじめの土曜日、八代では多くのボランティアの力を借りて、ねぐら整備が行われます。ねぐらとは、ツルが夜の間休息をとる場所のことで、八代盆地にはかつては多くのねぐらがありました。今回整備したのはこのうちの6か所です。集まったのは地元の方々や近隣からのボランティア、子どもからご高齢の方まで、総勢約200人。鶴いこいの里交流センターで開会式ののち、それぞれにねぐらの整備に向かいました。
 私もこのうちのひとつのねぐら整備に参加しました。車を降りてから、山道を登っていくこと十数分(これだけでひと苦労)、目の前に、かつての田んぼの跡があらわれます。15人ばかりで作業開始。草刈り機で生い茂った雑草を刈る者、スコップで水路の泥をあげる者、3時間ばかり、心地良い汗を流しました。すっかりきれいになったねぐらを後に、センターに戻ると、毎年お楽しみの昼ごはんです。八代米でできたおむすびと豚汁、馴染みの人、初めて出会う人、いろいろな方と話をしながら、大変おいしく頂戴しました。

 このねぐら整備が終わると、いよいよ八代はツルの季節です。例年、10月下旬から11月にかけて、ツルの第1陣がやってきます。近年は、渡来するツルの数が一桁台とやや寂しい状況になっています。1羽でも多くのツルがやってきてくれることを願うばかりです。また、今年は、鹿児島県出水市から移送されセンターで保護されている5羽のツルも放鳥される予定です。もしかすると、渡来したツルと放鳥されたツルとが仲良く八代の空を舞う姿が見られるかもしれません。

 八代の人々は、明治の昔からツルを手厚く保護してきました。大正10年には、本州では唯一のツルの渡来地として、国の天然記念物に指定されています(その後、特別天然記念物)。ナベヅルは山口県の県鳥でもあり、SLやまぐち号のヘッドマークにも描かれています。この冬、どうぞ皆さんもナベヅルに会いに八代盆地へおいでください。  (ま)



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