小学生向け 説明 | 手鑑とは、昔の著名人の手紙や和歌などの書き記したものを集めて、鑑賞用に仕立てたものです。この手鑑には、南北朝時代(14世紀半ば)から戦国時代(16世紀半ば)にかけて、山口を本拠地とした守護大名・大内氏の古文書や和歌、印影などが55点貼りつけられています。 標題の「多々良の麻佐古」は、多々良は大内氏のもともとの姓で、「麻佐古」は「真砂」の当て字で、大内氏ゆかりの文書などを真砂(細かい砂)に例えたものと思われます。 この手鑑は、元長州藩士で、明治時代に主に宮内省(現在の宮内庁)の重要な役職を歴任した、杉孫七郎(すぎまごしちろう)(1835~1920)が、大内氏ゆかりの古文書などを収集して、まとめたものです。この杉家は、大内氏の重臣だった杉氏の本家であり、孫七郎がかつての主家である大内氏の古文書を収集し、手鑑に仕立てたものと考えられます。 この手鑑は、鑑賞用としてすばらしい作品であり、また、大内氏歴代当主の文書が並ぶこと、様々な書式の文書が含まれ、中世の武家文書の様式を通覧できること、これまで史料集等に掲載されていなかった文書を多く含むなど、大内氏及び山口県の中世史研究上貴重な資料です。 |